2023年10月14日 古い街を通過する

金木犀の香りがする季節になった。

原付で走るにもいい季節だけど、車でイオンモールに向かった。

早く着ける抜け道ではなく、古い街を通る幹線道路を選んだ。

その道を走るのが好きなのだ。

中高生の頃は、自転車で片道40分程かけてたどり着く街だった。駅前にショッピングモール、アーケードのある商店街、映画館があった。

それらはかつての賑わいの名残で、沈みゆく寂れた街で、それでも質素な生活しかできなかった田舎の子には、必要に応じて向かうしかない場所だった。

二十代以降は、原付や車で時折訪れたが、ここ数年は通過するだけだ。

道は、郊外を抜けてから、市街地へ入っていく。

幹線道路沿いなのに、古い建物が取り壊された後が更地のままになっている。

知人が免許を取った時、買いたての新車に何人かで乗り込み、昔あったレストランに来たのを思い出す。誰かの祝い事に花瓶か何かを探しに来た店も、もう無い。

こうして書いてみると、いろんな事を思い出しながら走る道だから、時々通りたくなるのかと思う。

昭和懐古のTV番組は嫌いで観ないのに、個人的に郷愁に浸るのは嫌いじゃない訳か。軟弱だなあ。

目的地のイオンモールは、古い街の隣市の端にできた。

幹線道路を走るからと早めに出たので10時頃到着したが、随分ひとがいた。まだ古い街のように閑散としてはいない。

でも車で30分以上かけて来たのに、以前は買えた愛用の品が、買えなかった。いつの間にか取り扱いが終わっていたのだ。

賑わっていようが何だろうが、直に欲しい物が買えない地方在住者の悲哀は不変なのかよ。