2023年1月25日 雪の朝の原付

積雪と路面凍結は原付乗りにはつらい。

どかっと雪が積もって交通機関は止まりスタッドレスタイヤ装着車以外は走行不能、という状況までいけば「出勤できないので欠勤します、すみません」で済むのだが。

自宅周囲の積雪は5センチ超程度。

短めのダサい雨靴を履き、防寒兼転倒した場合に少しでも衝撃を減らすためにリュックを背負い、家を出た。

路上は凍っていたので、原付を押して歩いた。エンジンを切って押して歩いていれば、歩道を通行しても違法にならない。

学生も誰も歩いてなかったので、県道に出てからも歩道を進んだ。

ある上り坂が、ものすごくつらかった。

誰もいなければエンジンをかけて押して楽して登る予定が、四輪車のものとは思えない、うねうねのスリップ痕の果てにほぼ直角に停車している奴のせいで、警察が到着済みだった。

雪が溶けている幹線道路にたどり着いてからは、原付に乗って30キロ未満でそろそろ走り、やばそうな場所があると、両足を横に出して20キロ未満でそろそろ進む。後ろから車が来たら、仕方ないので路肩へ避けて先に行ってもらうけど、路肩はたいていまだ凍っているので怖い。

車にも乗るので、車道の原付や自転車を邪魔に感じるのはよくわかる。

運転中に、前を20キロでそろそろ走る原付 がいたら、静かについていく、なんてありえない、。原付が突然ドジって転倒し万一ひいてしまったら人殺しだ。そこまで考えてしまえば「雪の日に原付なんかで出てくるんじゃねーよ」と思うだろう。

でも。車に忖度しすぎなのでは、とも思った。

職場にしても。

前日に「明日の出勤は安全第一に」というおふれがあった。何があっても出社しろという風潮は、労使共に敬遠されるようになってきた。危険な状況にも関わらず出社を強いる方が間違ってる、そういう方向へ確実に傾いている。

安全第一を真に受けるなら、「路面の状態が良くなってから出勤します」と連絡して、午後から出勤する方が安全で楽だった。

でも。早く家を出なければ遅刻だ間に合わないと思っていたし、普段より早く起きて外を見た時点で、かなりの距離を原付を押して歩くことになると予想がついた。

原付を押して歩いてでも出勤する、て。

当然かありえないか殊勝か馬鹿か。

積雪20センチ超全面凍結ならありえないし、家を出る方が愚かである。しかし県道は何とか走れるんじゃね?な見通しで、残業しても納期過ぎちゃいましたな職場勤務で、おひさまが道を安全にしてくれるまでのんびりしていていいと思ってんのかーーそれができないのは性分の問題だ。

しかし。出勤に命を張るのは馬鹿げている。どれほど慎重に進んだところで、後ろから車が突っ込んできたらおしまいだーーそれは原付で通勤していれば、雪の日でなくても同じか。

でも。また似たような状況になったら。例の上り坂のせいか、筋肉痛がひどかったことだし、「2時間くらい遅刻します」と言ってもいいんじゃないだろうか。

それが建前ではありの職場だと判った分、私にそれが言えるかどうかの問題だという気がする。

職場には20分遅刻で到着。「大丈夫だった?」としか言われなかった。

あの上り坂が誤算だった、20分早く出てたら間に合ったなーとか思ったので。次の積雪の際には、「午後から出勤します」より、張り切って早く家を出そうな気がする。

何にしても。積雪の日に出勤するかどうか迷える時代になったのは、昭和生まれで20世紀から働いていた人間には、感慨深い。