藤川氏の登場曲

今季はプロ野球中継が例年より多い気がする。WBCの影響なのか。

阪神藤川球児氏の、豊富な経験に基づいた解説には感嘆しきりなのだけど。彼の姿を見聞きすると、つい思い出すことがある。

藤川氏が引退した際。「ああ。もうあの曲を聞かなくていいんだ」と思った。

リンドバーグの「every little thing every precious thing」。藤川氏の登場曲。

 

20代後半。1995年の阪神淡路大震災より後だったので、96か97年だったと思う。ひとり暮らしを始めた高校時代の友人のアパートへ、遊びに行った。

夢の実現へ向かっての転居だったので。ワンルームか1DKだったか、狭い部屋だった。

2人で食料を買いに行き、彼女はレンタル屋に寄ってCDを借りた。

部屋に戻ると、彼女はCDをかけた。新しい仲間とカラオケに行くとかで、練習したい曲がリンドバーグの「もっと愛しあいましょ」だった。アップテンポの、かわいらしい曲だった。

同じアルバムに入っていたのが「every…」だった。

「every…」が掛かった後。私は「こっちの方がいい曲じゃん」と言った。

彼女は「カラオケには、あっちの方が向いてる」と答えた。私は納得した。

CDが二巡目になり再び「every…」が掛かった。2人で黙って聴いた。

彼女が「いい曲だね」と言った。

 

数年後。彼女は借金を抱えた親に泣きつかれて、実家に戻った。

その後、1度会った。状況は好転していなかった。それから数年後、音信不通になった。

いまだに悔しい。

 

こういうことを文章化するのはよくないのは承知なのだけど、つい書いてしまった。