文春野球コラム2022

プロ野球の日本シリーズが終わった。

「文春オンライン」の野球コラムも終わった。

対戦形式で推し球団のコラムを書き「いいね」(HITと表す)の数を競う。コラムの勝敗に基づいて球団順位が決まり、CSがあり、最後は日本シリーズと称してセパの球団が7戦してHIT数を競う。

今年は横浜と日ハムが日本シリーズを戦い、横浜が6勝1敗で勝利。

「日ハム負けたか」と思った。

文春野球コラムを読み始めて2年足らず。日ハムのライターは玄人揃いで、はずれが少なく、勝率も高い。

永年応援してきた日ハムへの、そして選手への深い愛情を感じられる文章を、感情に流され過ぎることなく、巧みに書いた。時にはひと晩で4桁のHIT数を叩き出した。昨年主筆中田翔を書いたコラムは涙なしに読めなかった。

その日ハムが負けた。

今期、パリーグ1位で日本シリーズには進んだ。でも現在の日ハムという球団に、ライター達はかつてのような愛着と情熱を持っていない。コラムからそう読んでしまう。あふれていたものが減ると、足りないように感じてしまう。物足りなさ。永年一緒にいたから見捨てることは多分ないけど、もう昔のように愛してない――ってやつですか。

横浜のライター陣は。

去年最下位に沈んだ球団の「歯車が噛み合った」2位躍進に歓喜し、選手の思い出を語り、今シーズン最後の試合で最後の打者になった藤田選手の姿に涙し、生え抜き監督のもと見事に再生したチームに喝采を送り、来シーズンへの明るい展望と期待を胸に、今シーズンを終えた。

生き生きとした書きっぷりに、きっとそうだと思える。

日ハムは来シーズンを新球場で迎える。そこに日ハムライター陣のヒーローは立っているんですか……と、推し球団がないような見物人素人でも心配になってくる。

すべての球団は上昇下降、低迷混迷、再起を繰り返し、すべての選手はいつか必ず引退する。それでも球団を応援し続け、記憶し、かつての選手と現役の選手に思いを寄せ、祈り、見守る。その熱を持たない野球見物人に、ファンの熱量や心境はわからない。さめた熱は霧散するのか。再びかき立てられることはあるのか。

コラムにあの熱量はもうない。それは熱源の日ハムという球団が――コラム終わりにあるHITを押す手が止まる。日本シリーズに限らず今期はそういうことが増えた。

熱い思いに筆を滑らせることなくどかんと押してくるコラムを読むのは、本当に愉しみだった。

「だった」。

何でこんなことになってしまったのか。